食物は口から入り、食道、胃、小腸、大腸を通って便として排泄されます。
胃では胃酸、小腸では膵液、腸液などにより食物を消化・吸収していきます。
大腸では水分とミネラルを吸収し、残りが便として排泄されます。
消化器疾患では嘔吐、下痢、腹痛などが生じます。
<こんな症状はありませんか?>
・嘔吐、吐出
・下痢(軟便、水様性下痢、粘膜便、血便など)
・腹痛(頭を下げ、お尻を上げるポーズをとる)
・お腹が張っている、ゴロゴロ鳴る
・食欲低下
<こんな検査をします>
・糞便検査
・血液検査
・X線検査
・超音波検査
<代表的な疾患>
「感染性胃炎・腸炎(寄生虫、細菌性、ウイルス性)」 「異物誤飲」「中毒」
→ 一般内科のページをご参照ください https://yamazaki-vet.com/cms/menu/一般内科/
「炎症性腸疾患(IBD)」
胃、小腸、大腸の粘膜固有層への炎症細胞の浸潤を特徴とする慢性消化器障害です。
IBDは現段階ではその明らかな原因はわかっておらず、遺伝的素因、環境因子、食事、細菌、免疫システムの異常などが考えられています。
IBDの診断基準として食物反応性腸症、抗菌薬反応性腸症、膵外分泌不全、腫瘍、副腎皮質機能低下症、甲状腺機能亢進症などの疾患が除外でき、ステロイドに比較的良好に反応すると、IBDと診断に至ります。
⭐️必要な検査
・除去食試験
・血液検査
・超音波検査
・内視鏡検査
・病理検査
⭐️治療法
・食事療法(超低脂肪食、新奇蛋白食、加水分解蛋白食、アミノ酸食など)
・内服薬(抗菌薬、ステロイド、免疫抑制剤など)
・サプリメント(ビタミン剤、プレバイオティクス製剤、脂肪酸製剤など)
「膵炎」
膵臓は膵液という消化液を十二指腸に分泌し、食物の消化・吸収を助けています。
その他ホルモン分泌も行っています。
膵液は強力な消化酵素であり、過剰に活性化すると自己消化と炎症反応が起こります。
嘔吐、下痢に加え腹痛が多くみられます。
膵炎の危険因子として、高脂肪食、肥満、高トリグリセリド血症、犬種(ミニチュアシュナウザー、ヨーキーなど)、内分泌疾患、過度なストレスなどがあります。
また、重篤な合併症を引き起こすと致死率も高くなる病気です。
猫では膵炎、十二指腸炎、胆管炎が同時に起こる三臓器炎という病気があります。
⭐️必要な検査
・血液検査(膵特異的リパーゼなど)
・超音波検査
⭐️治療法
・内科治療(点滴、鎮痛薬、制吐薬、抗菌薬など)
・食事管理
・経腸チューブなど
「巨大食道症」
食道の運動性が低下し、び漫性に拡張した状態です。
先天性の場合と後天性の場合とがあります。
食道が胃へと物を送り出す運動性が低いため、食べてもすぐに吐いてしまいます(吐出)。
吐物が肺へ入ったことによる誤嚥性肺炎が問題となることが多いです。
X線検査で食道の確認をする事で診断されますが、後天性の場合は食道拡張を引き起こした基礎疾患の究明も必要となります。
⭐️必要な検査
・X線検査
・血液検査(副腎や甲状腺ホルモンの検査)
・抗アセチルコリン受容体抗体価
・内視鏡検査
⭐️治療法
・テーブルフィーディング(食後15分~30分は立位にする)
・胃瘻チューブ設置
・抗菌薬(誤嚥性肺炎の場合)
・その他基礎疾患に対する治療