<胃腸炎>
「感染性胃炎・腸炎(寄生虫、細菌性、ウイルス性)」
感染により消化器症状を呈します。
寄生虫感染は幼弱な子でよくみられます。適切な治療を受けないと脱水、衰弱してしまいます。
細菌は常在菌として腸内に存在しますが、細菌叢のバランスが崩れると消化器症状が起こります。
ウイルスでは特にパルボウイルスに感染した幼弱な犬・猫では生命に危機が及びます。
⭐️必要な検査
・糞便検査
・血液検査
・X線検査
・超音波検査
・ウイルス検査(パルボウイルスチェックなど)
⭐️治療法
・静脈点滴、皮下点滴(脱水を補正)
・食事療法(消化性の高い食事)
・内服薬(抗菌剤、駆虫薬、消化管機能改善薬など)
「異物誤飲」
消化できない物や毒物を誤飲したことによって消化器症状が発現します。
飲み込んだ異物がどの部位に停留しているかによって、食道内異物、胃内異物、腸内異物と分けられます。
消化管内に異物が詰まると閉塞が起き、急性の症状が出て生命に危機が及びます。
異物の誤飲は若齢犬で多くみられます。
紐のような細い物でも誤飲すると重度の腸閉塞を起こす可能性があるため注意が必要です。
<中毒>
毒性の強い物を摂取した事で様々な症状が発現します。
人間には無害でも犬猫には毒性が強く現れる事があります。
<内分泌疾患>
内分泌疾患は体内のホルモンが過剰になったり不足したりすることで引き起こされる疾患のことです。
症状は様々で、異常なのかどうかも分かりにくいことが多いです。
飲水量や尿量が増えたり、痩せてきたり、寝ている時間が増えたり・・・など家でのわずかな様子の変化がヒントになることが多くあります。
当てはまる症状がございましたらぜひ一度ご相談ください。
<こんな症状はありませんか?>
- 飲水量や尿量が増えた
- 食事量は正しいのに太ってきたor痩せてきた
- 寝ている時間が増えた
- なんとなく元気がない
- 以前より攻撃的になった
- お腹が張っている
- 顔や体の毛が薄くなった
<こんな検査をします>
- 血液検査
- ホルモン検査
- 尿検査
- 画像検査(X線検査、超音波検査)
<代表的な疾患>
「甲状腺機能低下症」
甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの欠乏に起因する疾患であり、高齢の犬で多く、猫での発生は非常にまれです。
犬で一般的に見られる症状として、内分泌性脱毛、ラットテイル(ネズミのような尻尾の脱毛)、再発性の膿皮症、元気が無い、悲しそうな顔、肥満、徐脈などが挙げられます。
⭐️必要な検査
- 血液検査
- ホルモン検査(血液検査)
- 画像検査(X線検査、エコー検査)
⭐️治療法
- 内科治療(ホルモン製剤の投薬)
「甲状腺機能亢進症」
甲状腺機能亢進症は甲状腺の腺腫や腺癌、過形成により甲状腺ホルモンが過剰分泌されることで発症します。猫ではきわめて一般的な疾患ですが、犬での発生はまれです。猫での一般的な症状は体重減少、多食、多飲多尿、興奮(攻撃性)、呼吸が荒くなるなどが認められます。
⭐️必要な検査
- 血液検査
- ホルモン検査(血液検査)
- 画像検査(X線検査、超音波検査)
⭐️治療法
- 食事療法
- 内科治療:抗甲状腺薬の内服
- 外科治療:甲状腺摘出手術
「副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)」
副腎皮質機能亢進症は様々な要因により、生体内においてコルチゾールなどのステロイドホルモンが過剰になることによって引き起こされる内分泌疾患です。
猫に比べて犬での発生が多い病気です。
①脳下垂体の腫瘍(多くは良性)によって引き起こされる下垂体依存性
②副腎皮質の腫瘍によって引き起こされる副腎腫瘍性
③ステロイド薬剤の過剰投与によって引き起こされる医原性
の3つに大別されます。
一般的な症状として、多飲多尿や多食、腹囲膨満、脱毛、皮膚の菲薄化などが認められます。
多飲多尿が最も多い臨床症状で、副腎皮質機能亢進症の犬の80-90%において認められます。
併発疾患も多く、糖尿病や膵炎、高血圧、血栓塞栓症、感染症、腎不全などが知られています。
⭐️必要な検査
- 血液検査
- ホルモン検査(血液検査)
- 尿検査
- 画像検査(超音波検査、CT検査)
⭐️治療法
- 内科療法:薬物治療
- 放射線治療:行うケースはまれ※
- 外科療法:副腎腫瘍性に限る※
「副腎皮質機能低下症(アジソン病)」
アジソン病は副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンが不足することによって起こる疾患です。
犬でしばしば認められ、猫での発生は極めてまれです。
一般的に認められる症状として元気食欲の低下、体重減少、嘔吐、下痢、血便、徐脈、低体温、痙攣などがあげられます。
副腎の機能が失われている状態で動物にストレスがかかると、突然のショック状態(アジソンクリーゼ)に陥り、命に関わる重篤な状態になってしまいます。
⭐️必要な検査
- 血液検査
- ホルモン検査(血液検査)
- 画像検査(X線検査、超音波検査)
⭐️治療法
- 内科療法:電解質輸液、薬物治療
「糖尿病」
犬や猫でも糖尿病を発症することがあります。
1型、2型などのタイプや原因の違いはあるにしても、どちらも高血糖や尿糖の出現が特長です。
一般的な症状として多飲多尿や多食、体重減少などがよく見られます。
続発性疾患も多く、糖尿病性白内障や糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害などが知られています。
また、適切な治療がなされないと糖尿病性ケトアシドーシスを発症し、命に関わる全身状態の悪化につながります。
⭐️必要な検査
- 血液検査
- 尿検査
⭐️治療法
- 内科治療(インスリン療法)
- 食事療法